胃の調子が悪くて胃カメラを受けようと思ったとき、初めてだとわからないことだらけで不安になって緊張してしまいますよね。
この記事は内視鏡クリニックで3年以上勤務し内視鏡技師免許をもつ看護師が、胃カメラの流れと検査前後の過ごし方や注意点を解説します。
この記事で胃カメラの流れを知ることで、安心して胃カメラを受けられるようになります。
胃カメラとは
胃カメラ(上部内視鏡検査)は、映像機能が搭載された内視鏡を鼻もしくは口から入れて、食道・胃・十二指腸を観察します。
胃カメラでわかること
胃カメラでは粘膜の色調や凹凸を観察することで、異常を発見できます。
異常が疑われる組織は、小さくつまんで組織検査をすることが可能で、食道癌や胃癌の早期発見や確定診断ができます。
他にも胃カメラで見つかる病気をみていきましょう。
- 逆流性食道炎
食道の下の部分に起こる病気。胃酸が上がってきたり食べ物が戻ってきたりすることが原因。
胸焼けや酸っぱいものが上がってくる感じや食事が詰まったような症状が出ます。
- アニサキス
青魚やイカなどを食べて数時間後に胃痛が起こる病気。
胃カメラでアニサキスが胃壁にひっついていたら、器具を使って除去します。
- 胃ポリープ
胃の粘膜にこぶのような突起になってるものをいい、胃ポリープの多くは良性です。
ごく稀にできる大きなポリープは出血や癌のリスクがあります。
- 十二指腸潰瘍
20〜30代の若者に多い疾患で、ヘリコバクター・ピロリ菌との関連が高い病気です。
お腹が空いた時に痛みが出現しますが、胃ではなく背部に表れることもあります。
胃カメラをした方がいい人
以下の症状がある場合は、胃カメラをした方がいいと言われています。
・急に吐血や下血をした
・胃痛や胃もたれ、胃酸が上がってくる
・健康診断で胃カメラが必要だと言われた
たまたまその日の体調が良くないと思うこともありますが、無症状でも胃などに異常があります。胃の不調で気になるところがあれば病院で検査の相談をすると良いでしょう。
症状があるひとは胃カメラを行い、症状に合わせた治療に進めることをおすすめします。
胃カメラは痛みを感じる?
胃カメラの痛みの感じ方は、人によって個人差が大きいです。注射を刺した時に「痛い」と感じる場合も、表現の方法が違うことと似ています。
口や鼻から胃カメラを通す時に、通過するところは粘膜なので異物が通る摩擦のような感覚はありません。
しかし、のどを通過する時や十二指腸に入る時には押された感じがするため、苦痛を感じる人もいます。
そのため、最近では鎮静剤や鎮痛剤を使用して胃カメラを行う施設も多くあります。
胃カメラが初めてで、不安が強い人はお薬に助けてもらって検査する事も検討するといいでしょう。
どの方法で行うにしても、検査の先生や看護師がそばにいて声かけをしてくれるので、安心して検査ができます。
胃カメラとバリウムの違い
胃カメラとバリウムは両方とも胃の中を検査することは同じですが、検査方法と精度が違うので比較してみましょう。
先端のカメラで粘膜を直接観察
粘膜の色調やわずかな隆起や模様の違いを観察できる
胃の粘膜が少しただれていたり、出血したりなどの異常を早期に発見できる
先端のカメラで粘膜を直接観察
粘膜の色調やわずかな隆起や模様の違いを観察できる
胃の粘膜が少しただれていたり、出血したりなどの異常を早期に発見できる
胃カメラの種類と特徴
胃カメラは先端にカメラが付いていて、それを体の中に挿入して検査します。
- 鼻から入れる方法(経鼻内視鏡検査)
- 口から入れる方法(経口内視鏡検査)
の2種類があります。
入れる部位が違いますが、検査として観察する部位は大きくは変わりません。
また医療機関によっては、鎮静剤を使用して検査することができます。
検査方法で何が違うのか、鎮静剤とはどんなものか解説します。
経鼻内視鏡検査とは
経鼻内視鏡は名前の通り、内視鏡を鼻の穴から喉の奥の方に通して、食道や胃などを観察します。
- 太さはストローくらいで、鼻と喉の奥に麻酔を行い内視鏡が通りやすくする
- 舌の上にカメラが通過する時に「オエっ」となることがなく、検査中に会話が可能
デメリットとしては、内視鏡が細いのでカメラの性能が少し画質が下がると言われています。
しかし医療機器の開発は凄まじく、近年は口からの内視鏡と同じくらいの画質で検査できる機器も登場してきました。
経口内視鏡検査とは
経口内視鏡検査は、口から食べ物が入るルートで内視鏡が挿入されます。
- 検査前には喉に麻酔をして、内視鏡が喉を通過する時に「オエっ」となりづらくする
- 内視鏡の太さはタピオカドリンクのストローくらいでやや太い
- 明るいライトを搭載して画質もいいので、短時間でしっかりと観察可能
喉に麻酔をしますがどうしても「オエっ」となりやすい人は、鎮静剤を使用して検査を受けることもおすすめです。
鎮静剤を使用した検査
胃カメラでは、経口内視鏡検査で「オエっ」となりやすい人が多いため、鎮静剤を使用した検査も多くの医療機関で行われています。
鎮静剤は全身麻酔とは違うので、先生や看護師が声をかけたら反応できる程度です。血管へ薬剤を投与するとウトウトした感じになり、人によっては検査が終わったことが分からないくらい寝てしまっている人もいます。
少しでも楽に検査がしたいと思う人は、鎮静剤を使用している医療機関を探すことも良いですね。
ただし鎮静剤を使用した日は車や自転車を含む運転は出来ないので、医療機関へ行くときの交通手段や、検査後の予定を確認してから予約を取りましょう。
胃カメラ検査の流れと注意事項
検査の前日は何に気をつければいい?検査直前や検査中、検査が終わってからの過ごし方について解説していきます。
前日と当日検査前
検査前日の過ごし方として、前日の21時までに夕食を食べ終えてその後は絶食となります。水分はお茶かお水は飲めますが、ジュースや牛乳、コーヒーは胃の壁に色が残ってしまい検査がうまくいかない可能性があります。
行動制限はないので仕事や学校に行っても良いし、遊びに行っても大丈夫です。
当日は朝から絶食して、水分も前日と同じ制限を守って検査に行きましょう。お腹が空いて思わずつまみ食いをしてしまった時には、予約している医療機関に連絡して、予約の取り直しをしてください。
せっかくの検査なので、胃の中は綺麗な状態でしっかり検査してもらった方が良いですからね。
内服薬は高血圧や不整脈、喘息などの薬は通常通り内服して大丈夫ですが、他の薬については予約の時点で確認する必要があります。
検査中
検査室に案内されたら、胃の中の泡を消してきれいにする液体の薬を飲みます。
次に、胃カメラを入れる部分に局所麻酔を浸透させ、その流れで鎮静剤を希望する場合には点滴を入れます。
薬が効いてきた検査が開始です!医師の声かけがあり体に内視鏡が挿入されますが、リラックスできるように看護師さんが背中をさすってくれます。検査時間としては約10分前後です。
体の力を抜いてリラックスすることが、検査を楽にする一番の近道かもしれません。
検査は食道・胃・十二指腸の順番に観察していき、医師の判断で必要があれば組織を小さく摘んで検査に出す「生検」というものをします。
検査後の過ごし方
検査が終了したら、鎮静剤を使用した場合には30分から1時間ほど院内でゆっくりしてから、結果説明の診察をしてから帰宅となります。鎮静剤を使用してない場合は、検査終了したら診察をして帰宅となります。
検査前にした麻酔が切れる時間(検査開始から約1時間後)は飲み込むことができないので、食事や水分を摂る時間には気をつけましょう。
また、胃カメラ中に「生検」をした場合は、検査当日は刺激の強い食事(辛いものやアルコールなど)は控える必要があります。
鎮静剤を使用した場合には、運転ができないことや人によっては夜までぼんやりすることもあるので、大事な予定は別日に設定した方がいいでしょう。
まとめ
今回は、胃カメラの特徴や検査前後の流れについて解説していきました。
胃カメラは見慣れない検査かもしれませんが、イメージをつかむことで少しは安心してもらえると嬉しいです。
体調が悪い時こそ、勇気を持って病院に行き自分の体と向き合うことが必要ですね。
あなたの勇気の一歩が、健康寿命を伸ばすきっかけになるでしょう。
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